「京の花街」

京都と言いますとまず、祇園祭りを思い出す人が多い。京の初夏を彩る最大のイベントと言えるでしょう。
比叡山延暦寺の別院であったころもあり、明治の始めのころに、八坂神社の名で独り立ちし、以降、、大晦日には正月のお雑煮を炊く「おけら火」を授かったりと、京都の庶民の生活に密着した諸行事で祇園さんは親しまれています。

社域のすぐ、西側に格式高い花街ができ、忠臣蔵で登場する”お茶屋一力”はあまりにも有名、その脇の花見小路を行き来する艶姿の芸妓舞妓との相乗効果で、祇園の名は、一躍花街の代表格となりました。

曲亭馬琴が、江戸時代の著書に、「京は現金の客をきらうぞ。かけは五節句払いなり。それも身分よろしき方へは、
勘定もゆるやかなり」と書いています。

昔のお茶屋の客筋は、室町か西陣の旦那衆で、馴染み客に限られていた。お茶屋は、ご贔屓の商家のふところ具合まで知っていた。そのかわり、馴染みのお茶屋があるのに、他のお茶屋へ行っても断られる義理堅い世界である。

今も「一見さんお断り」のしきたりが残っている。
一見さんをとると、常連さんをお断りしなければならない場合がおきる、
それを嫌ってあえて一見さんは断ることで、その義理を今も守っている。
「お座敷」
お茶屋のお料理はいわゆる宴会場である。お料理は、お茶屋で作られているのではなく、
料亭からの仕出しでまかなわれる。
勿論、外で食事をしてからお料理無しでお茶屋さんへと言うケースもある。

付き合いの永いお茶屋さんになると、お座敷だけでなく、宿泊や観光の手配、お土産にいたるまで、
京都の滞在を演出してくれる。
お客さん一人ひとりにきめ細かいサービスをする故、
基本的に「一見さんお断り」となる。

初めてのの人がお茶屋遊びをしたい場合は・・
※花街になじみの知人に連れていってもらう。
※格式の有る旅館やホテルに泊まり紹介してもら。

お座敷では芸妓、舞妓さんのお酌で杯を重ね、舞いを披露してもらう。
その他お座敷の楽しみ方は色々だが、そのひとつにお座敷遊びがある。
野球拳(ジャンケンをしてお客が負けると着ているものを一枚ずつ脱ぎ、芸舞妓が負けると盃を飲み干す)
おまわりヨイサ(おまわりヨイヤサーのかけ声とともにジャンケンをして勝ったほうが太鼓をたたき、
負けたほうがぐるっとまわる)など…色々と楽しませてくれる。
舞妓さんのなぜ!?

「京都にこられた時に、お座敷に向かう舞妓さんの中に、下唇だけしか紅をさしてへん人見たことおへんか?
それは、その舞妓さんが、一年未満やさかいどす、上唇は二年目から・・・」

「舞妓・芸妓さんの白塗りはなぜ!?それは、一説に江戸時代は、お座敷もローソクの明かりの中での
お座敷遊びやったからその名残やそうどす」

「舞妓はんの衣装は、江戸時代の町娘(良家)の姿どす・・」
舞妓さんの着物と髪飾り・ぽっちりそしてだらりの帯
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舞妓さんが結ぶ、後ろがだらりとさがった帯のことを、「だらりの帯」といいます。
衿替えがすんで芸妓さんになると、一般的におたいこ結びになります。

ちなみに花街では、帯留のことを「ぽっちり」と呼びます。

「花かんざし」
舞妓さんのさしてる華やかなかんざしを花かんざしと言います。
月ごとに代わる季節らしいかんざしと、お祭り時などの特別な時用のもとの
それぞれ、その時に応じ華やかに舞妓さんの髪を飾ります。

舞妓さん特有の「だらりの帯」は、帯の長さが4〜5メートルくらいで、普通の3倍ほどあるんどす。
下にそれぞれの置屋さんの家紋が入ってて、芸妓さんになると短い帯になるんどすけど、だらりの帯は舞妓さんの間だけ。
だらりの帯は京都しかおへんね。それと頭を地毛で結ってるのも京都だけどす。
帯にも染め帯、織物とか、夏の時期は絽があって、それぞれ時期によってかわります。

「舞妓さんのひとり言」
着物と帯は一揃えになってます。帯だけ変わって着物が変わらない時期とかもあるのどすけど、組み合わせはいろいろあります。
だいたい配色で、着物がこれやったらこの帯があうとか、そういう風にして選んでます。お襦袢はぜったい赤と決まってるんで、
そういうのは替えられしまへんし、やっぱり組み合わせどすね。うちは自分の家やので1人でいろいろ着られたり、
これを着たいって好きなこと言えたりしますけど、だいたいはおかあさんに決めてもらいます。芸妓さんになって家を出ても、
着物を着せてもらったりするのは置屋さんなんで、一緒どす。
舞妓さんを卒業して、芸妓さんになって1年か2年経ったら皆独立しはりますから、
そのくらいになったら自分の好きな着物を、着ることもできます。
お家にある着物の数は勘定したことおへんけど、一季節に少なくとも三枚はいります。
京都・五花街の舞妓さんがお届けする        
     舞 妓 さ ん の 京 だ よ り 
──●今回のテーマ「うちの1日」●──────────────────
舞妓さんは普段どんな1日を過ごしているのでしょうか?
祇園甲部の舞妓さん、真なみさんに語ってもらいます。 
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おおきに、真なみどす。創刊号のメール書かせてもらういうことでちょっと緊張してます。
これを読まはる皆さんに花街のこととか京都のことをもっと知ってもらえたら嬉しおす。
自分のこと少し話しますと、うち歌舞伎とか小さい時から好きやったんで、
テレビなんかで芸事を見ることはよう見てたんどすねん。
それで初めて京舞見たときに「自分で習いたい!」思ったんどす。親も芸事をしたいんやったらええよって
反対はされへんかったんどす。それで京都に出てきて、祇園の置屋さんに15歳から住まわせてもろうてます。
舞妓さんには16歳でなってから丸3年経ちました。
覚える事が今でもたくさんあって大変どすけど、楽しい毎日を過ごしてます。
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うちの1日
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朝はその日の予定にあわせて起きます。今日やったら9時30分に女紅場(にょこうば)集合やから8時くらい。
朝起きたらまずお布団をあげまっしゃろ。それから髪を梳きます。髪を梳くいうても、
舞妓さんの髪型は自髪で結わさせてもうてるものなので、綺麗にまとめるにはコツがいるんどす。
最初のころなかなかコツが掴めませんし、ねえさんに「お頼もうします」いうて梳いてもらうんどす。
けど“自分で梳けるようにならな"て、少しずつ自分で出来るようになってくるんどす。
着物着て、お化粧して、家から女紅場までの時間も頭に入れて朝は支度してます。
うちはゆっくりやさかい、よう遅れがちどす。朝ご飯もあんのどすけど、朝はバタバタしてるので食べしまへん。
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女紅場は、ほんまは八坂女紅場学園といって、芸舞妓さんの学校どす。必ず習うのがお茶、お三味線、舞、お囃子の4つ。
今日は舞とお茶があったんどすけど、その日によってお稽古の内容は違いますし、時間割も決まってしまへん。
自分がお稽古してもらう時間まで、おねえさんの舞うてはる姿とか見るのもお稽古どすね。
うちは都をどりとか舞台が好きやから、一番好きなのも舞のお稽古。
だけど舞台となるとお稽古も厳しくなりますし、3月は都をどりに向けて毎日のようにお稽古どす。
でもねえさんにちゃんと教えてもうたりとか、おっきいおねえさんとかもそういうところにいはるのんで、
緊張感が普段の稽古とまたちごうて、身が引き締まります。大変なこというたら朝が早いことくらいどすね。
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学校の終わる時間はその日によって違うんどす。どうしても、ぴちっとは終わらしまへんしね。
お稽古が長引く時やったら、お稽古場でご飯をよばれることもありますけど、たいていは家に帰ります。
お昼ご飯食べな、おかあさんに怒られるのどす。同期の子達(6人いて、
もの凄く仲がいいのんどす)とか家の子と一緒にご飯を食べに行くこともありますね。
みなさん、舞妓さんやからって和食ばっかり食べてると思ってはりませんか?
家でも中華風とか洋食系の時もありますし、外でもいろんなもの食べに行きますよ。
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お昼が終わったらお座敷の準備を始めるまでの少しの間ゆっくりできます。
朝が早い時はどうしても晩が遅いのでお昼寝する時もありますし、音楽聴いたり、お稽古するときもあります。
お稽古のない日やったらゆっくり休んでられるんどすけど、お部屋のお掃除とかそういう時にしたりします。
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朝からお昼過ぎまではだいたいこんな感じどす。